こんにちは。アニメが大好きなアオギリです。
今回は事前に調べて、公開日前から楽しみにしていた、『夏へのトンネル、さよならの出口』を観てきました。
事前のPVでもわかっていましたが、やっぱり映像がきれいで、それに合わせた音楽も最高でした。
映画自体は83分と短めで、自分的には少し物足りない感じもしましたが、きれいにまとまっていて良かったです。
見終わってみると、もう一度観たくなる、そんな作品でした。
ここから先は、ネタバレありで感想を書いていきますので、ネタバレされたくない方は、ブラウザバックをしてください。
映画『夏へのトンネル、さよならの出口』のあらすじ
ウラシマトンネル――そのトンネルに入ったら、欲しいものがなんでも手に入る。
ただし、それと引き換えに……掴みどころがない性格のように見えて過去の事故を心の傷として抱える塔野カオルと、芯の通った態度の裏で自身の持つ理想像との違いに悩む花城あんず。ふたりは不思議なトンネルを調査し欲しいものを手に入れるために協力関係を結ぶ。
これは、とある片田舎で起こる郷愁と疾走の、忘れられないひと夏の物語。
あらすじは大体こんな感じです。
ジャンルとしては夏、青春、SFの3つの要素にノスタルジックな雰囲気を加えたボーイ・ミーツ・ガール作品となっています。
時代背景としてはスマホではなく、ガラケーを主に使っていたので、スマホが普及する前の平成の時代だと考えられます。
また、作品を見ていて、ガラケーを使ったことがある人たちは、懐かしく感じるかもしれませんね。
映画『夏へのトンネル、さよならの出口』の概要
原作はガガガ文庫(小学館)から刊行されており、1巻完結の作品となっています。
最初のタイトルは、「僕がウラシマトンネルを抜ける時」となっており、この時にガガガ賞と審査員特別賞を受賞し、(このライトノベルがすごい!2020)で文庫部門で9位、新作部門で5位に選出されています。
この映画『夏へのトンネル、さよならの出口』の監督は田口智久さんです。
ペルソナ3を題材とした劇場版「PERSONA3 THE MOVIE #2 Midsummer Knight’s Drea」・「PERSONA3 THE MOVIE #4 Winter of Rebirth」と「デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆」などの監督を務めていました。
劇場アニメ以外にも、テレビアニメのほうで、いくつか監督もされていますし、これから放送される「BLEACH 千年血戦篇」の監督・シリーズ構成も担当されている方なので、これからの作品にも期待大です。
映画『夏へのトンネル、さよならの出口』予告動画
もうPV見ただけでもわかる映像のきれいさ。
音楽もテンポが良くて映像に引き込まれる感じで、最後に訳ありな感じでPVが終わっているのが、すごく後を引いて、気になりますよね。
映画『夏へのトンネル、さよならの出口』良かった点
(C)2022 八目迷・小学館/映画「夏へのトンネル、さよならの出口」製作委員会
映像がすごくきれい
私は新海誠の作品がすごく好きで、特にあの映像のきれいさには毎回驚かされます。
今回「夏へのトンネル、さよならの出口」にも同じような美しさを感じました。
終始一貫して映像がきれいなことはもちろん、ウラシマトンネルの中に入った時の幻想的で美しい色彩にはとても驚きました。
あんなトンネルが実際に存在したら、なかの風景をずっと見ていられる気がします。
主人公とヒロインのキャラがいい
(C)2022 八目迷・小学館/映画「夏へのトンネル、さよならの出口」製作委員会
主人公の塔野カオルは、過去の事件のせいで、感情をあまり表に出さずに人との間に壁を作って一定の距離を保っているような、影のあるような少年です。
しかしそのせいか、性格は落ち着いていて、物事を客観的に見て、冷静に判断ができています。
塔野カオルは、過去にとらわれて、未来・現在を見ずに、過去だけを見つめています。
そんな主人公ではありますが、ヒロインの花城あんずと出会い、ウラシマトンネル攻略のために協力関係を結んで、花城あんずと関わるうちに次第に心を開いていき、未来に希望が持てるようになります。
ヒロインの花城あんずは、東京から来た転校生で、容姿端麗で頭脳明晰。
花城あんずは、過去を見ているが、過去にとらわれることなく、未来・現在を見つめて、葛藤しながら悩んでいる。
転校初日から人を寄せ付けない態度を貫いていたせいで、クラスの女子グループに目をつけられて、自分の大切なものを馬鹿にされて、けんかになるのですが、花城がけんかを吹っかけてきたリーダーの顔をグーで殴った場面はとても印象的でした。
まぁ、人それぞれ大切なものは違うので、どんなものであれ、人の大切に思っているものを馬鹿にするのは良くないですね。
しかし、グーパンで殴るなんてかなり気が強いですね。
外から見たら強そうな花城あんずですが、実はすごく繊細で自分に自信が持てないことを悩んでいます。
そんなところも花城あんずの魅力なんだと思います。
主題歌・挿入歌ともに最高!
今回のこの映画『夏へのトンネル、さよならの出口』を見て、この主題歌と挿入歌を作った「eill」さんを初めて知りました。
主題歌の「フィナーレ。」、挿入歌の「プレロマンス」ともに映像とマッチしていて最高でした。
この「フィナーレ。」の力強いギターと繊細なピアノがいい感じで、楽曲の途中で「電車の音」や「波の音」、「雨の音」、「セミの鳴き声」などの環境音が入っているのもすごく好きです。
ラストの「味気ないね でもそれがね ふたりの幸せ。」の歌詞は聞いたときに鳥肌が立ちました。
これは花城が塔野に「塔野君の見ている世界を見せてよ。」「僕の見ている世界は味気ないよ。」に直結していて答えなんだと思いました。
味気ない世界でもふたりとっては、それが幸せなんだと思うと嬉しくなります。
この「プレロマンス」は明るくて軽快で颯爽とした感じの楽曲なので、物語に引き込まれるような感じや、ふたりの恋が進んでいるようで、聞いていてワクワクします。
また、歌詞が携帯に書き込まれていくのが、メールを打っているみたいで懐かしく感じます。
映画『夏へのトンネル、さよならの出口』気になった点
映画全体を通して、話もきれいにまとまっていて、楽しかったし、満足もしています。
ただ1つ私の願望をいうのであれば、塔野と花城以外の人物にもスポットを当てて、他の人との絡みが観たかったです。
劇中では、川崎小春がプールサイドで花城あんずに謝るシーンがあったので、その辺の絡みを詳しく観たかったです。
他には、塔野カオルの父親の印象があまりよくなかったので、その辺も深堀してほしいところでした。
まぁ、塔野と花城以外にもスポットを当てると、時間が伸びてしまうから、大幅にカットされていたと思うのですが、私は上映時間が120分になってもいいので、この世界に没頭して観ていたかったです。
映画『夏へのトンネル、さよならの出口』をもっと楽しむには?
『夏へのトンネル、さよならの出口』には、1巻で完結している原作小説がありますので、もっと『夏へのトンネル、さよならの出口』について深く知りたい人、興味を持った人は是非読んでみてください。
映画で省略されたところがたくさんありますので、おすすめです。
ただ1つ問題があって、『夏へのトンネル、さよならの出口』は2019年に刊行された作品なので、今も書店に行って売っている可能性はかなり低いです。
私も映画を見た後、原作が読みたくなり、いくつもの書店を回りましたが、1冊も置いてありませんでした。
たまたま出かけた先の書店に立ち寄ったら、ラッキーなことに1冊だけ置いてあったので即買いしました。
私が買った原作には、(2022年5月31日第5刷発行)と書いてあるので、書店を探せば結構あるのかもしれませんね。
『夏へのトンネル、さよならの出口』は最高でした!
今回は、映画『夏へのトンネル、さよならの出口』について話してきました。
CLAPが作り出した、美しくも儚い夏の風景とリアルな描写で、あの頃の懐かしき思い出が呼び起されたような感覚でした。
私の印象に残っているシーンは、塔野カオルが花城あんずに何も言わずに、ウラシマトンネルに1人で入ってしまうシーンが好きです。
塔野がウラシマトンネルの本当の意味を理解して、花城の欲しいものはウラシマトンネルでは手に入らないと思い、冷静に客観的判断から、1人でウラシマトンネルに入るのはさすがだなと思いました。
たぶん、ウラシマトンネル入ることを花城に話すと、一緒に行くとついてくる可能性が高いから、花城には伝えなかったんだと思いました。
また、塔野がウラシマトンネルに入ったことを知り、入り口まで行きますが、中に入って追いかけることをしないで、未来で待つ選択をする花城もさすがですね。
よくあるボーイ・ミーツ・ガールだと、好きな彼を連れ戻すために、トンネルに入ったりしますが、そんなことはせずに、今を見て、塔野との約束でもある漫画家になって、漫画を後世に残すことを胸に、踏みとどまった花城が切なくて好きです。
私たちは普段の生活の中でもたくさんの取捨選択をしていますが、何か欲しいものや大切なことを選ぶ時に、ついそれにばかりに集中してしまい、周りが見えていない状態が多々あると思います。
そんな中で選択したものには、選ばなかったもの、失ったものの大切さに、後から気が付くことのほうが多いと思うので、今に集中するのではなく、先のことも見据えて、物事の取捨選択をする必要があると気が付かせてくれる作品でした。
まだ、『夏へのトンネル、さよならの出口』を見ていない人は、今すぐに映画館に観に行ってください。
もうすでに『夏へのトンネル、さよならの出口』を観に行かれた人は、是非もう一度観に行きましょう!
あの儚く切ないようなエモい感じは映画館でしか、味わうことができないので、ぜひ映画館で観て体感してください。